櫂伝馬の由来
櫂伝馬(かいでんま)とは、一般的に櫂(かい)で操作する伝馬船のことです。かつては、水軍の襲艇(早船)として使用された船のことを櫂伝馬と呼んでいました。
住吉祭の御座船を曳航することを本来の任務としていましたが、いつのまにか競漕中心のものとなったため、速さを競う造船(設計)に工夫を凝らしたり、勝つための漕手(かこ)の選定や舵取り技術、太鼓の打ち方(リズム)に至るまでを競い合うようになったと伝えられています。
櫂伝馬の構造
櫂伝馬は片舷7人ずつ14人の漕手により、船尾部の太鼓に合わせて櫂を合わせ、操船する手漕ぎの和船です。船頭(船長)も船尾部に立ち、「大櫂」と呼ばれる大きめの櫂を操り舵を取り、自在に船を操り、乗り手をひとつにまとめます。
役割
水夫(カコ)は片舷7人の計14人、船頭、太鼓、船首・台ふり、船尾・剣櫂それぞれ1人ずつの計18人が乗船。櫂は船首(オモテ)から7番櫂、 6番櫂と続き、1番櫂が船尾へと順番に並びます。水夫は各地区それぞれのユニフォームを着用し、その上から赤いハッピ(正装)、剣櫂と 台ふりはカスリ(浴衣)、袴、白足袋で飾ります。
- 船頭(せんどう)
- 船頭(船長)は櫂伝馬船の最高責任者として乗組員をひとつにまとめ、潮流を読み目的地に向けた最良のコースを選択します。競漕においてはレースの駆け引きも担うもっとも重要な役割を果たします。
- 水夫
- 漕手は「水夫(カコ)」と呼ばれ、櫂を漕ぐ技術もさることながら櫂の構え、漕ぎはじめから漕ぎ終わりすべての動作を一体となって合わせます。船を少しでも速く推進することに専念します。
- 太鼓
- 太鼓手は漕ぐタイミング(ピッチ)を太鼓によりリード、コントロールして漕ぎ手を一つにまとめます。
- 船首・台ふり
- 船頭の後ろに立ち、小型の櫂を振ります。
- 船尾・剣櫂(けんがい)
- 舳先に座り采(さい)を振ります。