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櫂伝馬造り

櫂伝馬造り

速さの追求、美しさへのこだわり

櫂伝馬(船)は、各地区ともだいたい7年から10年おきに新造されます。櫂伝馬の構造によって、速い、遅いが端的に表れるので、船頭や水夫(カコ)らは、新しい船の建造には最新の注意を払います。ですから、地元の棟粱(船大工)は、最大限の創意工夫しながら、技術の粋を尽くして櫂伝馬の建造にあたってきました。

上棚のウエナミ仕上がり

船首部分の四角穴は魔除け。丸穴は御共船を曳航する際に使用。

その曲がり具合が速力に大きく影響するかわら(キール)

船尾のボン(デッキ)取り付け

フレーム取り付け

上棚を船首から取り付け

上ズリの取り付け

約半年がかりで丹念に仕上げます

化粧板の取り付け

大櫂の櫂座の取り付け

伝統の技術が冴える櫂伝馬造り

櫂伝馬の建造にあたっては、より速く進むようにそれぞれ工夫され、建造工程の細部は”企業秘密”。櫂は、その地区の櫂伝馬の構造に応じて長さが決まっています。東野の櫂伝馬の特色として、船尾に化粧が施され、主に朝日が描かれています。さらに、両サイドには唐草模様が刻みこまれ、こういうところにも伝承文化が生きています。櫂伝馬一隻造るには、船大工60人役とされ、およそ半年がかりの仕事となります。これは、半年前から木材を吟味し弁甲(べんこ)材を事前に確保しなければ、その年の住吉祭に間に合わないからです。

瀬戸内海各地の櫂伝馬に見られる船首・台ふり、船尾。剣櫂は、女装(女神)服を身につけ、船の安全と水先案内の役割を担っていました。また、剣櫂は、昔、樽の上に乗って演技をしていました櫂伝馬行事が、神事から競漕へと趣が変化したのに伴い、現在のように船尾のボン(デッキ)の上で演じるようになりました。

船の化粧デザイン

船の化粧デザイン

舟に施す化粧デザインは右側面と左側面では、対になっています。船の側面に直接描かれた部分もありますが、彫刻刀で削って彩色されている部分もあります。船尾側の面は、朝日や夕陽を表したデザインになっています。